●デフ交換
アクセルを抜いて惰性で転がるとフロントからガコガコガコッと嫌な音。大抵の場合は車高アップの際にプロペラシャフトの角度補正を怠り、ジョイント部のガタが過大になり異音を発生する。これを放置するとトランスファーのオイルシールまでも痛めつけてしまい重症となる。もうひとつはデフのガタ過大により発生する異音で音質は非常に似ている。
滋賀のハイロンサム氏が持参してくれたホーシング。これに部品取りにストックしておいたSJ20用のデフを移植して使用する。というのも、元々使用中のホーシングは激しいアタックによりデフケースが凹んでおり、リングギアと接触する一歩手前であった為。部品取りホーシングは土に突き刺さっていたのでホーシングの損傷が激しかった。
左がSJ20用、右がSJ10用。SJ20はファイナルギア比がSJ10の4.875に対し4.556と少ハイギアードになっている。クロスカントリーユースであればSJ10のファイナルを組んで問題ないが、私の場合は長距離走行が多いのでSJ20のファイナルで良い。SJ10ファイナルだとEgが吹け切ってしまう。
純正部品が到着するまでの間にショートパーツを再生しておく。デフケースの当たり面はオイルストーンで均しておく。デフケース内「も綺麗に清掃し、新品のガスケットを使用して組み付ける。少々の不安があったので、ごく薄くシーラーを塗布した。デフASSYは結構な重さなので注意が必要。
リジットラックを確実にかけてホーシングを降ろす。今回はドラムまで分解せずに、ナックルから先をゴッソリ引き抜いてホーシングのみを移植する。時間短縮の為の苦肉の策であるが、ブレーキOHを施したのが比較的最近であったので良しとしよう。タイロッドを外してショックもフリーにしておく。ついでにブレーキ配管も外す。忘れずにタイヤを外してジャッキアップする前にプロペラシャフトのフランジを緩めておかないとメンドクサイ事になりまする。空回りして緩められないのね。シャフトは途中からスッポ抜けるからまあ良いのだが、この接合部は合いマークがあり、きちんと組み付けないと振動の原因になる。どちらにしても面倒なので、この段階で外してしまうのが楽なのであります。
残るはここのプレートを外してキングピン上下を撤去すればナックルASSYで引っこ抜ける。プレートを剥がすと滅茶苦茶綺麗なオイルシールがコンニチハ。このオイルシールは、適正なグリースを使用しないとデロデロに溶ける。その寿命は三分の一以下にまで縮まるのだ。このシールが溶けると、お水が浸入し易く、キングピンベアリングまでもが破壊されるに至る。今回は念のため新品のシールを揃えておいたが、使用する必要は無く、ストック行き
激しいクロスカントリー走行に興じておられる方々の間で問題視されているキングピンベアリング。上記の通り、浸水により虫食いが発生したり、焼き付き粉々に砕け散る事もしばしば。特に油分が下に落ちる上側のベアリングは定期的なチェックないしは交換が必須。何故グリスニップルを装着しなかったのだ・・・鈴木さん。と思いきや、少しの改善はされている。画像左側は当時モノのキングピンベアリング。右が対策品でNTN製からシールつきのKOYO製へと変更されているのだ。発注の際は 部品番号 09265-15005 でどうぞ。
パット類の状態も良好。これらはJA11用でOKである。オイルシールはハサミで切って装着するが、それはシールのみ交換するときの話でナックルを引き抜いての作業では、切らずに装着できる。切らない方が格段に作業性が良い。
さっさとホーシングを降ろしてしまう。ステアリングアームが邪魔になるので番線で上に吊っておく。降ろす際は何とかなるが、新たに載せる際にこれを怠っているとうまくいかない。どうやって降ろすかは以前に掲載したとおり。先にナックルを抜いておかないと、あまりの重さに腰が砕け散ること必至。新たなホーシングにドライブシャフトオイルシールを打ち込み、元の位置に戻す。今回はUボルト等の修正を同時に行ったので少々時間が掛かってしまった。Uボルトはネジ部の損傷のみならず、強大なトルクを受け続けた結果、開いてしまっていることが多々ある。次回は新品を購入しなくては。
ナックル内部にグリースを封入。約150g。スズキスーパーグリースH(モリコートグリース)品番:99000-25120を使用恐らくモリブデン系。これ以外はダメね。綺麗なオイルシールが見えるが、打ち込む際には気を遣わないと変形する。キングピンベアリングを上下に装着してシャフトをブッ挿し、ナックルを装着。少しコツが要る。下側のベアリングが落下し易いのでグリースで接着してしまう。因みにドラム付きのナックルはメチャ重い。
ナックルシール類を組み付ける。ここは少量のシーラーで接着するように組んでいくのが楽。まず、ホーシングにオイルシールを通し、引っ掛けておく忘れると、後でオイルシールを切断して装着する羽目になる。ナックルにリテーナーを装着し、オイルシール、パット、プレートの順で組み立てる。ハンドルストッパー役の少し背が高いボルトが左右一本ずつあるので位置に注意せねばならない。逆に、このボルトを背の低いものにすれば、切れ角が増大し最小回転半径が小さくなる。これは大径タイヤを装着してワイドトレッドスペーサーを組んだ車輌のみ有効で、ノーマルだとリーフとタイヤが干渉するので改悪以外の何者にもならない。
ブレーキ配管をして、タイロッドを組み付け、プロペラシャフトを固定したら、エア抜き、ブレーキ調整で終了。車検対策でノーマル鉄ホイールに下駄山。このホイールはジムニー純正の中でも、装着したまま、どの位置からでもブレーキ調整ができる逸品である(SJ10,20純正は穴位置を決めて装着せねばならない)。
参考締め付けトルク | |
キングピン固定ボルト | 200〜300kg-cm |
36mmキャッスルナット | 1500〜2700kg-cm |
ホイールナット | 500〜800kg-cm |
タイロッドエンド | 300〜550kg-cm |
ブレーキブリーダープラグ | 90〜130kg-cm |
ブレーキ配管 | 140〜180kg-cm |